Point
- 子どものお金は、早く考えるほど時間を味方につけやすい。
- 証券口座は目的を決めてから使うと、家計全体で管理しやすい。
- 教育費と家族の生活費を混ぜず、役割を分けて考える。
教育費・体験・将来支援を分ける
誰の名義で何を管理するか決める
使う時期に合わせてリスクを調整する
読みながら確認したいこと
- 教育費の使う時期をざっくり書き出した
- 子ども名義と親名義の役割を分けた
- 短期で使うお金は現金で残している
子どもの誕生でお金の目的が変わる
第一子が生まれたとき、私のお金に対する感覚は、はっきりと変わりました。それまでの資産形成は、正直に言えば「自分の将来のため」という、少し漠然としたものでした。それが子どもの顔を見た瞬間、「この子が進みたい道を選べるようにしたい」という、具体的で期限のある目的に変わったのです。
目的が具体的になると、お金の計画は立てやすくなります。大学進学なら18年後。留学したいと言い出すかもしれない。スポーツや音楽に打ち込むかもしれない。何に使うかはまだ分からなくても、「18年後前後に大きなお金が必要になる可能性が高い」ことだけは、ほぼ確実に分かっています。
私が子どもの誕生をきっかけに証券口座を考えたのは、この「先が読める長い時間」を活かさない手はない、と思ったからでした。
教育資金は使う時期がある程度見える
教育資金には、他のお金にはない特徴があります。使う時期が、子どもの年齢からある程度読めることです。中学・高校の入学、そして最大の山になりやすい大学の入学と在学期間。子どもが0歳なら、その山まで18年あります。
この「時期が読める」という特徴は、準備する側にとって大きな武器です。老後資金のように「何歳まで生きるか分からない」という不確実性がなく、ゴールから逆算して計画を立てられます。18年後に必要なら、月々いくらの積立で届きそうか。児童手当をそのまま積み立てたらどこまで賄えるか。具体的な計算ができるのです。
たとえば児童手当を全額積み立てるだけでも、現金のままで約200万円になります。ここに毎月1万円の上乗せや運用の成長が加われば、大学費用のかなりの部分が見えてきます。大事なのは金額の大小より、「山が来る時期を知っていて、前もって動いている」という状態を作ることです。
早く始めるほど毎月の負担は軽くなる
教育資金の準備で、いちばん効くのはテクニックではなく「早さ」です。同じ300万円を用意するにも、18年かけるなら月約1.4万円、10年なら月2.5万円、5年なら月5万円。始めるのが遅くなるほど、毎月の負担は重くなります。
さらに、期間が長ければ運用を組み合わせる余地が生まれます。10年以上使わないお金なら、長期・積立・分散を効かせた運用で、積立の負担を軽くできる可能性があります。逆に、使うまで数年しかないお金は、下落から回復を待つ時間がないため、運用には向きません。「早く始める」は、運用という選択肢を使えるかどうかの分かれ目でもあるのです。
もちろん、出産直後は出費もかさみ、積立の余裕がない時期もあります。それでも、月5千円でも児童手当だけでも、早く仕組みを作っておく価値はあります。金額は後から増やせますが、過ぎた時間は買い戻せません。
現金と運用を分けて考える
教育資金をすべて運用に回すのは、おすすめしません。使う時期が決まっているお金には、「その時期に下落が重なるリスク」があるからです。大学入学の年に相場が3割下がっていたら、と考えると、全額運用の怖さが分かると思います。
私は、教育資金を2つに分けて考えています。ひとつは、時期が近い・金額が確定している支出のためのお金。入学金や受験費用などは、現金や預金で確実に持っておく。もうひとつは、10年以上先に使う可能性のあるお金。こちらは長期運用で育てる。そして子どもの成長とともに、運用部分から現金部分へ、少しずつ移していきます。
この分け方をしておくと、相場が下がっても「直近で使う分は現金であるから大丈夫」と落ち着いていられます。教育資金の運用で大切なのは、増やすことよりも、使う時期に確実にあることです。
子ども名義のお金に向き合う意味
子ども名義の口座を作ることには、計算を超えた意味もあると感じています。それは、家族のお金の目的が「見える化」されることです。
親名義の口座にまとめて入っていると、教育費のつもりのお金も、生活費や他の目的と混ざりがちです。子どものための口座が分かれていると、「これはこの子の将来のためのお金」という線引きが、家計の中にはっきり生まれます。夫婦でお金の話をするときも、「教育資金は今ここまで来ている」と共有しやすくなります。
また、子どもが成長したとき、お金について話すきっかけにもなります。「あなたが生まれたときから、少しずつ準備してきたお金だよ」という事実は、金銭教育のどんな教材よりも実感のこもった教材になるはずです。
親の安心が子どもの選択肢につながる
教育資金の準備は、突き詰めると「子どもが何かをやりたいと言ったとき、お金を理由に諦めさせない」ための準備です。私立に行きたい、留学したい、大学院に進みたい。そのときに「お金は大丈夫、やってみな」と言える親でいたい。私自身の資産形成の、大きな動機のひとつです。
同時に、忘れてはいけないのは親自身の生活です。教育費に全力を注いで老後資金が空っぽになれば、将来その負担は子どもに向かいます。教育資金は大切ですが、家計全体、親の老後まで含めたバランスの中で考えるものです。
ご相談では、お子さんの年齢と進路の幅から教育費の山を見える化し、現金と運用の分け方、児童手当の活かし方、家計全体とのバランスまで、一緒に整理します。子どもが小さいうちほど、打てる手はたくさんあります。
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この記事は一般的な考え方の整理であり、個別銘柄や特定商品の売買判断、投資助言ではありません。家計、目的、リスク許容度に合わせて、自分で判断できる状態を作るための読み物としてご覧ください。