教育資金は、完璧な計算より早めの準備が大切

教育資金は大きなテーマですが、完璧な金額を出すよりも、早めに方向性を決めることが大切です。

Point

  • 教育資金は完璧な金額より、早めに方向性を決めることが大切。
  • 進路によって必要額は変わるため、幅を持たせて準備する。
  • 教育費だけを優先しすぎず、老後資金とのバランスも見る。
01時期

いつ大きな支出が来るか見る

02

公立・私立などの選択肢を想定する

03両立

老後資金とのバランスを取る

読みながら確認したいこと

  • 入学時期ごとの大きな支出を把握している
  • 進路の幅を持たせて準備している
  • 教育費で老後資金を削りすぎていない

教育資金は家庭によって大きく変わる

「子ども1人に教育費は1,000万円」「いや2,000万円かかる」。こうした数字を目にして、不安になったことはないでしょうか。実は、どちらも間違いではありません。教育費は、進路の選び方によってそれくらい大きく変わるのです。

たとえば、幼稚園から高校まですべて公立で大学だけ国公立に進む場合と、中学から私立で大学は私立理系、さらにひとり暮らしをする場合とでは、総額に1,000万円以上の差がつくこともあります。習い事や塾をどこまでやるかでも、大きく変わります。

つまり、「教育費はいくら必要か」という問いに、全国平均で答えても意味は薄いのです。大事なのは、わが家はどんな選択肢を子どもに用意したいか。そこから考え始めると、雑誌の見出しの数字に振り回されなくなります。

完璧な計算より幅を持って考える

とはいえ、子どもがまだ小さいうちに進路が決まっているはずもありません。「私立に行くか公立に行くか分からないのに、計算のしようがない」。その通りです。だから、教育資金は一点の金額を当てにいくのではなく、幅で考えます。

やり方はシンプルです。いちばん費用がかからないコース(たとえば高校まで公立、大学は自宅から国公立)と、可能性としてあり得る費用のかかるコース(私立や下宿など)の、2つのシナリオをざっくり置いてみる。すると「最低でもこれくらい、多ければこれくらい」というレンジが見えます。

準備の目標は、まず最低ラインを確実にカバーし、上のシナリオとの差額をどこまで埋めるか考える、という2段構えにします。完璧な予測は不可能でも、幅で構えておけば、どちらに転んでも致命傷にはなりません。計算の精度より、構えの早さ。教育資金はこれに尽きます。

使う時期から逆算する

教育費で本当に注意すべきなのは、総額よりも「山が来るタイミング」です。毎月の給食費や習い事は月々の家計から払えますが、私立の入学金、受験費用、大学の初年度納付金のような数十万〜百万円単位の支出は、その月の家計からは払えません。前もって貯めておくお金です。

そこで、子どもの年齢から支出の山を時系列に並べてみます。中学受験をするなら小4から塾代が本格化する、高校・大学の入学年には入学金と授業料が重なる、といった具合です。山の時期が見えると、「いつまでに、いくら」という積立の設計が自然と決まります。

そして、山が近いお金と遠いお金では、置き場所も変えます。3年以内に使うお金は預金で確実に。10年以上先のお金は、NISAなどを使った長期運用で育てる選択肢があります。使う時期が近づいてきたら、運用分を少しずつ現金に移して、直前の下落に巻き込まれないようにします。

現金で持つ部分と運用する部分

教育資金の相談でよくあるのが、「全部運用で増やしたい」と「怖いから全部預金で」の両極端です。どちらにも一理ありますが、私はその中間、目的別の使い分けをおすすめしています。

確実に来ると分かっている支出、たとえば高校までの学費や受験関連費用は、現金・預金でしっかり確保します。ここは増やす場所ではなく、守る場所です。一方、大学費用のように10年以上先の大きな支出は、一部を長期運用に回すことで、毎月の積立負担を抑えられる可能性があります。

比率は、家計の余力と、値動きへの耐性で決めます。運用部分が下がったときに「教育費が減った」と夜も眠れなくなるようなら、その比率は高すぎます。教育資金は金額も時期も外せないお金だからこそ、「攻める部分」は家計に余裕がある範囲にとどめるのが原則です。

教育費の不安を家計全体で見る

教育資金の不安は、教育資金だけを見ていても解消しません。というのも、「教育費が払えるか」は、実際には毎月の家計の余力の問題だからです。

固定費が重い家計は、教育費の山が来たときに身動きが取れなくなります。逆に、通信費や保険料などの固定費が整理されていて、毎月しっかりお金が残る家計なら、多少の想定外にも対応できます。教育資金の準備とは、結局のところ家計の基礎体力づくりなのです。

また、児童手当や高校の就学支援金、大学の修学支援制度など、公的な支援も年々変わっています。使える制度を知っているかどうかで、実際の負担は大きく変わります。「うちは対象外だろう」と思い込まず、一度確認してみる価値があります。

選択肢を残すための準備

もうひとつ、教育費とのバランスで必ずお伝えしていることがあります。教育費のために、親の老後資金を犠牲にしすぎないことです。

教育費には奨学金や教育ローンという手段がありますが、老後資金に「老後ローン」はありません。子どものためにと全力を注いだ結果、老後に子どもへ経済的に頼ることになれば、それこそ本末転倒です。教育費と老後資金は、対立するものではなく、家計全体の中で同時に設計するものです。

教育資金の準備のゴールは、満点の計算書を作ることではありません。子どもが進路を選ぶとき、「お金を理由に諦めなくていい」状態を作っておくこと。そのために、早めに、幅を持って、家計全体で構える。ご相談では、この設計をあなたの家庭の数字で一緒に作ります。

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この記事は一般的な考え方の整理であり、個別銘柄や特定商品の売買判断、投資助言ではありません。家計、目的、リスク許容度に合わせて、自分で判断できる状態を作るための読み物としてご覧ください。